会社案内

地下水調査

技術紹介 > 地質調査手法 > 地下水調査

地下水調査

地下水調査は、地盤の地下水位および間隙水圧、透水係数などを把握し、根切りの排水計画、トンネルの湧水量の推定、地下水影響予測などに利用します。また、ダムでは基礎岩盤の透水性評価のためにルジオン試験を行います。さらに最近では、地下水の流速流向測定も同時に行い汚染物質の拡散予測も行っています。

以下には、主な地下水調査の概要を示します。

調査法 主な対象地盤 得られるデータ 調査結果の主な用途
間隙水圧測定 土質地盤 地下水位
間隙水圧pw
排水計画
沈下検討
土圧や有効土被り圧の算定等
現場透水試験 土質地盤 地下水位
透水係数k
排水計画
浸透流解析等の地下水解析
湧水圧試験(jft) 岩盤 平衡水位
透水係数k
深い根切りの排水計画
トンネルの湧水量の推定
ルジオン試験 岩盤 ルジオン値lu ダム基礎岩盤の透水性評価
グラウチング計画
揚水試験 土質地盤 透水量係数
貯留係数等
大規模な排水工法検討
地下水影響予測
地下水流速流向測定 土質地盤 地下水の流動方向
流動速度
地下水影響予測
汚染物質の拡散予測

■ 間隙水圧測定

地盤の間隙水圧は、有効応力に基づく地盤モデルを検討する上で不可欠であり、圧密沈下の解析、根切り底の安定の検討などに利用されます。

ボーリング孔を利用する簡易な方法としてはピエゾメーター法がありますが、これは水頭を測定するもので砂質土地盤にしか適用できません。この方法については次の現場透水試験で説明することとして、ここでは、粘性土でも使用可能な電気式間隙水圧計による間隙水圧測定の概要を述べます。

電気式間隙水圧計は、水圧を電気的に変換できるもので、下図に示すような構造をしています。この水圧計をロッドの先端に取り付け、孔底から地盤中に押し込むか(軟弱な粘性土)、孔底まで降ろしてフィルター材で本体を埋め戻し、シール材で十分に遮水します(砂質土や硬質な粘性土)。その後長時間放置して、間隙水圧が平衡状態になった時の値を原位置における間隙水圧とします。

電気式間隙水圧計と設置例
電気式間隙水圧計と設置例

ページの先頭へ戻る

■ 現場透水試験

単孔式の現場透水試験方法は、試験区間の形状などから次のように分類されます。

試験区間の形状 単層系地盤 多層系地盤
試験孔の孔壁全体 オーガー法(非定常法/回復法・注水法) -
測定用パイプの底面 チューブ法(非定常法/定常法) -
測定用パイプの先端部の孔壁 ピエゾメーター法(非定常法/回復法・注水法)
試験孔孔壁の一定区間 パッカー法(定常法/定水位法)

これらの試験方法のうち、適用範囲が広く、現在最も一般的に用いられているのはピエゾメーター法です。下図に示すような測定孔を削孔し、汲上げもしくは注水により水位を変化させ、水位の回復状況より透水係数kを求めます。また平衡水位を求め、その区間の間隙水圧とします。

ページの先頭へ戻る

■ 湧水圧試験(JFT)

主に岩盤を対象とした現場透水試験であり、本来は水位測定管の底にセットされたバルブを瞬間的に解放し、測定管内を上昇する水位の変化と最終の平衡水位を求め、水位の変化より透水係数を算出するもです。

最近では、水位測定管内の水位をガス圧で強制的に変化させて、そのときの水圧の変化を測定する方法で行っています(下図参照)。湧水圧試験は、現場透水試験のピエゾメーター法の一つと考えられるため、解析方法(透水係数の求め方)はピエゾメーター法と同様です。

湧水圧試験概要図
湧水圧試験概要図

ページの先頭へ戻る

■ ルジオン試験

主にダム建設において、ダムサイトの基礎岩盤の透水性調査やグラウチング計画の立案を目的として実施される試験です。

まず、試験区間にパッカーを設置し、ロッドを介して試験区間にポンプで一定圧力で注水します。このとき、口元で注水圧力と注水量を記録します。注水圧力を段階的に増加させ、最大注水圧力段階の試験が終了したら逆に段階的に圧力を減少させていきます。

注水圧力と注水量は、P-Qレコーダーで自記記録させる方式が主流で、注水圧力を試験区間内の水圧計で直接測定する方法も開発されています。

注水圧力と注水量からルジオン値または換算ルジオン値を求めて、ルジオンマップを作成してダム基礎岩盤の透水性を評価します。

ルジオン試験装置とルジオン値の求め方
ルジオン試験装置とルジオン値の求め方(クリックして拡大)

ルジオンマップの例
ルジオンマップの例

ページの先頭へ戻る

■ 揚水試験

揚水試験は地下水の利用を目的とする場合と、揚水によって地下水位もしくは水頭を減じ、土木工事などの排水工法の設計に利用する場合があります。

前者は井戸の揚水能力の確認を主たる目的とし、多くの場合揚水井戸単独で行い、適正揚水量を求めることが重要となります。

一方後者は、帯水層の水理定数を求めることを目的とし、揚水井と複数の観測井を用いて行う規模の大きな試験です。単孔式の透水試験より広い範囲の透水量係数(または透水係数)および貯留係数を求めることができるため、大規模な排水工法設計のための試験として広く用いられています。

試験は、観測井や揚水井を中心として複数本配置し、揚水井で揚水してそのときの揚水井および観測井の水位低下量を時間と共に記録します(非平衡状態)。次に各井戸の水位がほぼ一定になったときの揚水量と各井戸の水位を記録します(平衡状態)。さらに揚水を停止し、各井戸の水位回復の状況を記録します。

測定された揚水量および水位低下量などを用いて、井戸理論より帯水層の透水量係数(または透水係数)および貯留係数を求めます。求められた水理定数より、非平衡式または平衡式を用いて排水工法の設計を行ないます。

揚水試験概要図
揚水試験概要図

ページの先頭へ戻る